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エリシャ言けるは汝らエホバの言を聴け ヱホバかく言たまふ 明日の今頃サマリヤの門にて麥粉一セアを一シケルに賣り 大麥二セアを一シケルにて賣にいたらん  時に一人の大将すなはち王のその手に依る者神の人に答へて言けるは 由やヱホバ天に窓をひらきたまふも此事あるべけんや エリシャいひけるは汝は汝の目をもて之を見ん 然れどこれを食ふことはあらじ -列王紀略下7:1,2-

スリア王ベネハダデが全軍を集めてイスラエルに攻め寄せてきた。サマリヤは包囲されて兵糧責めに遭い、食糧は底を尽き、遂にロバの頭一つは銀80枚、鳩の糞一カブの四分の一は銀5枚の高値になった。品薄の時には昔も今もインフレが起きるものである。

民の中には子を殺して食べる者さえ出て、争いが起こり、もはや進退極まった。

イスラエルの王は、この災いは神より出たと思いこみ、預言者エリシャの命を求めて来た。 この時エリシャが預言したのが前述の言葉である。

奇蹟が起きた。 用いられたのは、四人の重い皮膚病を患う人たちだった。町に入ることを許されず、城門にいた四人が互に言った。

「我らなんぞ此処に坐して死ぬを待つべけんや」 と。

街に入っても食料が無いから死ぬ、此処にいても死ぬ、それならば、いっそスリア人の所に行こう。彼らが生かしてくれるなら生きるし、殺されるならそれまでだ・・・と。 人間死んだ気になって進むならば、自ずと道が開かれるものだ。

そして、彼らが行った先で見たのは、スリア人は一人もおらず、地面には彼らが慌てて残して行った多くの食料や衣服、金銀や天幕、馬やロバであった。

一体何があったのか?

神が働いてくださったのだ!!

これより前に、スリアの軍勢は、車の音、馬の嘶き、大軍の声を聞いた。彼らはイスラエルにエジプトが味方して、敵が何倍にもなって攻め寄せて来たと早とちりして、恐怖のあまり凡てを棄てて逃げて行ったのである。 その大音声とは、実は神が発して下さったものだった。

四人は腹一杯食物を食べ、手一杯品物を集めてねぐらに収めた後、城内の人たちのことを思いだし、王の眷属に事の次第を伝えた。 こうしてスリア人の残したものは悉くイスラエルの分捕り物となり、翌日には大量の食料で満ち溢れ、大安売りとなった。

不信仰な言葉を吐いたあの大将は、人に踏まれて死に、食料を見ることはできたが、食べることはできなかった。預言者エリシャの言った通りになった。

神はわれらの避所 また力なり なやめるときの最ちかき助けなり さればたとひ地はかはり 山はうみの中央(もなか)にうつるとも 我らはおそれじ -詩篇46:1,2-