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これらのことの後で、神はアブラハムを試された。
神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、神は命じられた。
「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 -新共同訳 創世記22:1,2-
アブラハムは信仰の父と言われている。イスラエル民族の祖先であるばかりでなく、教会にとっても立派な信仰の模範を遺した人物である。
彼と、彼の妻サライが長い間祈り求めて与えられた独り子イサクを、神は燔祭として献げよ、と言われた時、彼は「はい」と言って献げた。
山に登る途中で、アブラハムが伴の若者にこう言った。
「わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」と、 -5節-
また、イサクが
「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする小羊はどこにいるのですか。」 -7節-
と尋ねると、アブラハムは答えた。
「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の小羊はきっと神が備えてくださる。」と、 -8節-
神が命じられた場所に着き、祭壇を築き、イサクを縛って薪の上に載せ、刃物を持って屠ろうとした瞬間、天から御使いがアブラハムに呼びかけて言った。
「その子に手を下すな、・・・あなたが神を畏れる者であることが、今分かったからだ。あなたは、自分の独り子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」 -12節-
彼が見ると、傍らの木の茂みに一匹の牡羊が角をとられていた。それを捕えて息子の代わりに燔祭として献げた。
御使いは言った。
「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子すら惜しまなかったので、あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたが私の声に聞き従ったからである。」 -16~18節-
この言葉は、預言であって、始めの二ヵ所の子孫(複数形)は、文字通り、アブラハムの子孫を指しているが、最後の子孫(単数形)は、アブラハムの系図の中に生れるイエス・キリストを指していて、全世界の国民は、イエス・キリストの福音に与るによって祝福されることを示している。
また創世記22章全体から、アブラハムの言動の凡てに彼の信仰がこもっているのを知る。その信仰を神が見て喜ばれたのである。
「信仰なくしては神に悦ばるること能はず」 である。 -へブル11:6-
へブル書6:13~20参照
カット写真 札幌資料館ともくれん (中央区大通西15・旧札幌地裁)