無限 43番 筆者蔵
イエスこの世を去りて父に往くべき己が時の來れるを知り、世に在る己の者を愛して極みまで之を愛し給へり。 -ヨハネ13:1-
愛する一人の画伯、江川 博さんが天に召されました。78歳でした。
御家族からの葬儀の依頼を受けて、御自宅に近い市内の葬儀会館で司式をさせて頂きました。
お若い時から抽象画一筋に進んでこられた方です。気骨のある方でした。
生涯に何度か画風を変えています。いつも新しいものを求めて、そこに行きつくと決して後戻りはしない方でした。
画集の中で、「自分本来のものがまとまってくるのは70あたりを超えるころだろう。誰でもそんな年ごろから、本物になってくるらしい。・・・」 と書いておられますが、丁度そのお年頃に、ご病気を通して作風が一変し、「無限」という題名の連作になりました。
その頃頂いたお手紙の中に「年を重ねて万物の限りがあること、無限への希望と憧れを強く感じている」と記されてありました。
主題となる画面の中心から、上下左右へ、周囲へ手足のように伸びる線は、この先に続きがあるのだと物語っています。正に「無限」の世界を求めているように見てとれます。
昨年から、上掲の絵の朱色の部分が、ウコン<鬱金>という黄色になりました。まるで黄金のようで、天国の色のように思えます。
今、イエス・キリストによって永遠の生命を頂いて天国へ行かれた江川さん。この絵の主題「無限」は、まさに「永遠」を描いているのではないでしょうか。